
課題
オンラインでのアパレル購入においては、サイズ精度の問題が頻繁に発生し、高い返品率や顧客満足度の低下を招く要因となっていました。従来のサイズ表やブランド間でのフィット感の不統一は、消費者の意思決定プロセスをさらに複雑化させていました。アダストリアは、オンラインショッピング体験を向上させ、かつ同社のサステナビリティ目標に合致する、高精度でパーソナライズされたサイズ推奨を提供可能なソリューションを模索していました。
ソリューション:「Body2Fit」の導入

アダストリアは、Bodygramの「Body2Fit」ソリューションを、公式WEBストア「and ST(アンドエスティ)」を含む自社ECプラットフォームに導入しました。利用プロセスは簡潔です。ユーザーは年齢、身長、体重、性別といった基本情報を入力後、自身の正面と側面の写真を撮影します。BodygramのAI技術がこれらの画像を解析し、ウエスト、肩幅、四肢の長さといった身体各部位の寸法を推定します。その後、システムはこれらの測定値に基づき、最適なアパレルサイズを推奨します。
本機能により、顧客は以下のいずれかの方法で最適なフィット感を見出すことが可能です。
クイック入力: 顧客が基本情報(身長、体重、年齢、性別)を入力すると、AIがこれらの情報を用いて身体寸法を推定します。
カメラモード: 顧客がスマートフォンを使用し、簡単な2枚の写真(正面および側面)を撮影することで、BodygramのAIがより高精度な身体寸法を推定します。
いずれの場合も、AIは顧客の測定結果とアダストリアのサイジングデータベースを照合し、各商品に最適なサイズを推奨します。一度採寸が完了すると、そのデータは将来の利用のために保存され、異なる商品を選ぶ際に再度入力する手間が省けます。
成果
顧客体験の向上: 利用者はパーソナライズされたサイズ推奨を受け取ることで、購買決定における不確実性が低減され、購入への信頼感が向上します。
返品率の削減: 正確なサイジングは返品数の減少に繋がり、コスト削減に寄与するとともに、サステナビリティへの取り組みを支援します。
売上増加: フィット感への確信が高まることで、顧客が購入を完了する可能性(コンバージョン率)が向上し、売上増加に繋がります。
サステナビリティ目標との整合: 返品を最小限に抑えることにより、アダストリアは廃棄物を削減し、2050年までのカーボンニュートラル達成というコミットメントの推進に貢献します。
今後の展望
アダストリアは、「Body2Fit」の活用を、当社の他ブランドおよび小売チャネルにも拡大していく計画です。将来的には、本技術を実店舗での体験や顧客関係管理(CRM)システムと統合し、シームレスなオムニチャネルでの購買体験の提供を構想しています。加えて、サイジングデータから得られる知見は商品開発に活かされ、アダストリアが自社の顧客基盤により適合するアパレルを設計し、返品率をさらに低減させることを可能にすると期待されます。